カシミール3Dの使い方

メニュウ
カシミール3Dとは
カシミール3Dの地形図
標高データの重ね合わせ
カシバードの使い方
GPSとパソコンとのデータ交換
GPSトラックデータの編集
地図にルートを書き込む
地図画像の保存
表示の設定と印刷
北海道の地図データ提供サービス

カシミール3Dとは

カシミール3Dを収録した解説本
 『カシミール(Kashmir)3D』は、ダン杉本氏が作成した、多機能地図ソフトです。地図ブラウザ機能を基本に, 風景CG作成機能, GPSデータビューワ・編集機能, ムービー作成機能, 山岳展望機能などができます。このように多機能でありながら、ありがたいことにフリー(無料)ソフトです。
 さらに、カシミール3Dを使うと、国土地理院の地形図を購入することなく、地形図を見たり印刷したりできます。カシミール3Dにはいろいろな利用法がありますが、ここではGPSと関連する部分を主に紹介します。
 まず、カシミール3Dのホームページからカシミール3Dをダウンロードしてください。初めての方は「カシミール3Dおまかせセット」がよいでしょう。中上級者向きには「カシミール3Dカスタムセット」があります。インストールはダウンロードしたファイルをクリックするだけで自動的に行われます。また、カシミール3DをCD-ROMに収録した本が実業之日本社から出版されています。

カシミール3Dの地形図

  カシミール3Dを立ち上げたら、インターネットから地図を読み込みましょう。現在のカシミール3D(Ver. 8.8.1以上)は国土地理院の地図閲覧サービス「ウォッちず」(試験公開中)から地形図を自動的にダウンロードして表示します(無料です)。カシミール3Dの[ファイル]−[地図を開く]-[ウォッちず 電子国土 基盤地図」から地図の読み込みができます。ただしこのサービスは試験中なのでいつまで続くかわかりません。最近(2008年)、新「ウォッちず」に切り替わり、web上での旧「ウォッちず」は使えなくなっています(ハードディスクに保存されている地形図は使えます)。
 地図を指定するとダウンロードは自動的に行われますが、サーバの負担を軽くするために、連続的なダウンロードはできない設定になっています。インターネットの通信速度が遅いと、カシミール3Dの設定が「オフライン」になることがあります。[ファイル]-[オフライン]にチェックがついていたらはずします。ダウンロードされた地図はハードディスクに保存され、初期設定ではその容量が640MBに制限されています。ハードディスクに余裕があるならば、[ファイル]-[地図の保存先・容量の設定]を開き、容量の上限を「無制限」に設定します。次回に開く地図が同じ場所であれば保存された地図が読み込まれますし、インターネットにつながってなくても地図を表示できます。

カシミール3Dで国土地理院の地形図をダウンロードする手順

ダウンロードした地図の保存先と容量を設定する。ハードディスクに余裕があれば上限は「無制限」にする。すべての地域の地図をダウンロードしておけば、インターネットに接続していなくても地図の表示ができる。
 カシミール3Dで表示される新「ウォッちず」では、中身は同じものですが、1/25000の他に1/12500と1/6000の縮尺の地図があります。どの縮尺を選んでもカシミール3Dで縮尺を変えると自動的に切り替わります。1/25000地形図を小さくしてゆくと、等高線のない電子国土1/10万以下に切り替わります。
 カシミール3D上に地形図を表示するもう一つの方法は、「山旅倶楽部」に加入することです。「山旅倶楽部」は地形図の有料ダウンロード(年会費2800円)を提供しています。世界地図、国土地理院の80万、20万、4万および2万5千分の1地形図が使えます。「山旅倶楽部」からの地図のダウンロードもカシミール3Dがすべてやってくれます。なお、「山旅倶楽部」の地図は標高データと一緒に送られてきます。標高データと地図データを分離することはできません。

標高データの重ね合わせ

 最近、国土地理院の基盤地図情報が整備され、いろいろな地図情報がダウンロードできるようになりました。ここでは10mメッシュ標高データをダウンロードしてみましょう。以前は50mメッシュ標高データのCD-ROMを買わなければなりませんでしたが、それよりはるかに精密なデータが無料で入手できるのですから、使わない手はありません。
国土地理院基盤地図情報ダウンロードサービス
 ダウンロードの詳しいことはカシミール3Dのホームページに書いてあるので、ここでは簡単に説明します。まず。まず、国土地理院の「基盤地図情報の閲覧・ダウンロード」のページにアクセスし、「基盤地図情報ダウンロードサービス」、続いて「基盤地図情報 数値標高モデル」の「JPGIS 2.0(GML)」を選びます。開いたページの10mメッシュ(標高)の+をクリックすると、ダウンロードする都道府県を選択できます。また、「地図から選択」をクリックすると、区域の選択ができます。データはたいへん大きく、インターネット通信環境の悪い場合には時間がかかります。まず、小さい区画で試してみてください。
 ダウンロードしたファイルはZIPで圧縮してあるので、エクスプローラなどで解凍し、拡張子がxmlのファイルを取り出します。北海道全域の場合、xmlファイルは1004個、12.34GBにもなりますから、ハードディスクに余裕があることを確かめてからダウンロードしてください。
標高データが追加された
 次にカシミール3Dでxmlファイルをxemファイルに変換します。そのためには基盤地図情報(標高)プラグインが必要ですので、カシミール3Dホームページのこちらからダウンロードしてインストールしておいて下さい。xemファイルの変換も遅いPCでは時間がかかります。xemファイルはバイナリファイルですので、サイズは少なくなります(北海道全域で324MB)。できたxemファイルの最初の一つをカシミール3Dにドラッグ&ドロップすると、すべてのxemファイルが読み込まれ、[ファイル]-[地図を開く]に「基盤地図情報10m標高」ができます。xemファイルができたらZIPやxmlファイルは削除してもかまいません。
 さて、できた標高地図は地形図情報が入っていないのでこれを重ねます。まず、標高地図を閉じ、「電子国土」あるいは「ウォッちず」の地形図を開きます。このとき、自分がよく使う場所(例えば札幌など)の地図を表示し、[ジャンプ]−[現在位置をマーク]をクリックし、名前をつけて登録しておくと後々、便利です。次に、[編集]−[標高データを重ねる(MAT図作成)]での「標高地図の選択」画面で、「一覧から選択」ボタンをクリックし、先につくった「基盤地図情報10m標高」を選びます。次の「出力先設定」画面で「この地図をジャンプに登録する」をチェックし、コメント欄に地図の縮尺などを書き込みます(これは必要事項ではありませんが登録しておく方が便利です)。
 さて、地図に標高データが重ね合わされると、どういうわけか地図が富士山に飛んでしまいます。そこで先ほど登録したジャンプ先を選ぶと、元の地図の場所に戻ります。標高データは陰影をつけて表示されるので、急な斜面は一目でわかるようになり、地図の迫力が増します。標高データが重ねられている地図(MAT図)上をマウスが動くとダイアログバーに表示される標高がかわり、その地点の標高を知ることができます。なお、標高データを重ねて表示したくないときは、カシミール3Dの[地図表示]-[標高データ合成表示]のチェックをはずします。
 困ったことはもう一つあって、「ウォッちず」の地形図に標高データを重ねると、カシミール3Dでの縮尺が自動的に切り替わらなくなります。他の縮尺でもMAT地図をつくっておき、「地図を開く」から開かなければなりません。それぞれの縮尺MAT地図を「ジャンプ」の「現在地図をマーク」に登録しておくと、少し早く切り替えることができます。この「現在地図」というのは、地図の種類のことで、縮尺の違いやMATなども含みます。
通常の地形図(左)と標高データを重ねたMAT図(右)
 基盤地図情報のデータは、国土地理院の「基盤地図情報閲覧コンバートソフト(FGDV)」でも表示できます。 こちらからダウンロードできます。ZIPで圧縮してあるので、適当なフォルダを作って解凍します。
 このソフトは基盤地図情報データをZIPファイルのまま読み込むことができます。すべてのデータが表示されるので、地名などが邪魔になります。表示の設定で変更します。なお、標高データは段彩図で表示されます。また、読み込んだデータをシェイプファイルやDMファイルなど、GIS用のデータに変換する機能もあります。しかし、残念なことに描画が非常に遅く、多くのデータを読み込むとフリーズしてしまいます。  

カシバードの使い方

 地図に標高データが重ね合わせてあると、カシミール3Dで山の3次元(3D)表示をすることができます。これにはカシミール3Dの中のカシバードを起動します。カシミール3DのMAT地図上で山を見たい位置(あるいは見たい山)にマウスをおき、右クリックしてメニュウを出し、[カシバード位置(目標)]を選択すると、カシバードが起動して山のポリゴン表示が出ます。目的のkas1.jpg山が画面に表示されていないときは、いったんカシバードをネオパラ最小表示にして、地図画面を表示すると左図のような印があるはずです。円の中心が撮影位置、桃色の扇形が撮影方向と画角(視角)を示します。これをマウスでドラッグすることにより、位置の移動や撮影方向を変えることができます。
 カシバードでは矢印キーで画面を、[Shift]+[矢印キー]で撮影位置(前後左右)を、[Ctrl]+[縦矢印キー]で上下位置を動かします。これは大変便利な機能なので覚えましょう。画角は[設定]−[カメラの設定]−[レンズ]で変えます。望みの立体図ができたら撮影に移ります。撮影の前に[設定]−[風景の設定]−[詳細]で、たとえば冬の場合は[冬の季節][雪線]0mなどと設定します。
 [自動マッピングする]を選択すると、右図のように地形図の標高線、川、道路などの表示が合成されます。右の[マッピング]のボタンを押してさらに詳細な設定をすることができます。[地図の文字・記号のみを抜き出す]をチェックすると、道路、川などを選択して表示することができます。しかし、多くを選択するとあまり綺麗な画像にはならないようです。川のみを選択すると比較的よい結果が得られます。
 なお、撮影範囲のすべての地図がハードディスクに読み込まれていないと、マッピングは読み込まれている部分しか行われません。

GPSとパソコンとのデータ交換

「GARMINとの通信」画面
 パソコンとGPSの間でデータ交換をするために、両者をミニUSBケーブルで接続します。[通信]−[GPSからダウンロード]−[トラックデータ]を選択すると、「GARMINとの通信」画面になるので、最近のOregonなどのGPSでは「マスストレージ接続」を、古いeTrexなどはUSB接続(Garmin社製ドライバが必要)を選択チェックします。Oregonなどは電源をオンにしなくても接続状態になりますが、eTrexなどUSB接続では電源を入れないと通信できません。ダイアログの[開始]を押すとGPSからデータが取り込まれ、[アップロード/ダウンロードリスト]のトラック名にSegment:1とかの名前が出ます。必要なデータを反転表示し、[カシミールへ保存]を押して保存します。
 カシミール3Dの画面で[編集]−[GPSデータ編集]にゆき、「GPSデータエディタ」を開きます。トラックのフォルダを開くと、今、ダウンロードしたトラックデータがあるはずです。マウスでトラック名を選択して[表示]−[ジャンプ]を選択すると、トラックのある地図にジャンプし、地図上にトラックが点滅表示されます。
GPSデータエディタ
 古いGPSで受信感度が悪いと、トラックは衛星電波が弱いと途切れ、次に測位ができたときは新しい番号のトラック名が作られます。切れたトラックがあまり離れていなければ、カシミールによって接続することができます。「GPSデータエディター」を開き、接続したいトラックをすべて選択し、[編集]−[トラックの接続]で接続します。地図上のトラック線の色や太さは[編集]−[プロパティ]によって変えることができます。また、[プロパティ]ではトラックの名前を適当なものに変えることもできます。同じ山のトラックデータをまとめて反転表示し、[ファイル]−[GPSデータを書き出す]により、ファイルに保存します。保存されたファイルはテキストファイルになり、外部エディターで測定点の削除などの編集ができます。また、連続するトラックを切り離したりできます。
 GPSからデータをダウンロードし終わったら、GPSのメモリーを有効に使うために、GPSのトラックログを消去しましょう。
 GPSへウェイポイントなどをアップロードするには「GPSデータエディタ」でアップロードしたいウェイポイントなどを反転表示し、[通信]−[GPSへのアップロード予約]−[選択データ]を選ぶと[アップロード/ダウンロードリスト]が開きます。アップロードしたいポイントを反転表示して[アップロード]ボタンを押します。

GPSトラックデータの編集

 「GPSデータエディタ」でトラックを選択して、[編集]−[トラックの編集]から左図のような「トラックデータ編集」画面になります。ここでデータポイントを選択するとマーカーが地図上に現れます。削除したいポイントを探し出し、[編集]−[削除]で削除します。マーカーの種類は[グラフ]−[グラフオプション]−[マーカー]で変えることができます。
 地図上でマウスをGPSトラック上におくと[TRK Object XXXX.POT: No. YY]というダイアログがでます。ここでマウスをドラッグしてNo. YYの点の位置を動かすことができます。地図を4倍くらいに拡大しておくと目的の点をドラッグしやすくなります。このときマウスの右クリックでメニュウを出し[ポイントメニュー]でデータの削除もできます。

トラックポイントの編集
 トラックデータ編集画面では経度緯度や標高の他、日付と時刻も読みとることができます(一番、右側の欄)。この時刻は衛星から受信したものなので非常に正確です。これから出発時間や登頂時間が分かります。

地図にルートを書き込む

 カシミール3Dに表示されている地図に登山道やルートなどの線を書き込むことができます。登山ルートを計画したり、他の人にルートを説明するのに便利です。

マウスの左クリックで線を延ばしてゆき、終点で右クリックする
ルートの名前などを設定する

できあがったルート
 まず、地図上で線の起点となる地点をマウスで右クリックすると地図のメニュウが出ます。ここで[新規作成]-[登山道・道路作成]をクリックします(「ルート作成」を選ぶと各点に大きなアイコンが表示される)。すると、起点からマウスの先端に向けて線が引かれます。そこでマウスを動かして、起点の次の点に持ってゆき左クリックします。線を延ばすにはまた次の点を左クリックします。スムースなラインを作るには多くの点をクリックしなければなりません。終わりの点まできたらマウスを右クリックして出るメニュウの[確定]を選択します。点を打つ位置を間違ったときはやはり右クリックメニュウの[一つもどる]を選択します。
 線を確定すると「ルートデータプロパティ」の画面になります。ルートの名前、表示色、線幅、線種を設定します。できたルート(登山道)には両端に○印がついています。この○が気になる人は、このルートの[ルートの操作]-[トラックへ変換]をクリックすればトラックに変わります。
 作ったルートを表示したくないときは、マウスでルートを指して右クリックメニュウを出し、[ルートの操作]-[非表示]にします。また削除は[ルートの操作]-[削除]です。つくったルートをGPSに送る(アップロードする)こともできます。

地図画像の保存

 カシミール3D上の地図やカシバードで描いた3DCG画像をファイルに保存することができます。地図の場合には[ファイル]−[表示画像を保存]−[表示領域を保存]あるいは[指定領域を保存]を選びます。領域指定はマウスを地図上でドラッグして指定します。カシバードの場合も同じですが、領域指定はできません。これによって保存される画像はビットマップ(BMP形式)です。
 BMP形式はファイルサイズが大ききなりすぎるので、画像編集ソフトに読み込んでjpg形式に変換するとファイルサイズを小さくできます。jpeg形式に変換する画像編集ソフトはウィンドウズ附属のペイントでもよいです。ウィンドウズのアクセサリ・フォルダにあります。BMP形式の画像ファイルをペイントに読み込み、[ファイル]-[名前をつけて保存]をクリックし、[ファイルの種類]の欄からjpeg形式を選びます。あとは[保存]をクリックするだけです。ペイントより高級な画像処理ソフトだと、必要な部分だけを切り取ったり(トリミング)、画像を小さくしたり(画像解像度あるいは画像サイズの変更)、[アンシャープネス]フィルターをかける(ピントを合わせる)などの処理ができます。 
表示の設定と印刷
緯度経度線や磁北線の表示設定
 カシミール3Dを使うと地形図を買う必要がなくなるばかりか、便利な機能が沢山あります。まず、地図がシームレスに表示されますから、市販の地形図では数枚にまたがる地形図を一枚にまとめることができます。また、地図の縮小・拡大ができますから、A4版の中に詰め込んだり、詳細な拡大地図をつくったりできます。
 GPSを使うときには緯度線、経度線入りの地図が役に立ちます。カシミール3Dの[表示]−[表示の設定]−[緯線経線]で線間隔、線幅、線種、線色を設定できます。さらの緯線経線の補助線もあり、色や線種を変えた補助線がかけます。なるべく薄い色を使った方が地図読みの邪魔になりません。さらにさらに、[表示の設定]では磁北線も書き入れることができるのです。磁北線の角度は緯度によって異なりますが、カシミール3Dはその角度を計算して書いてくれます。これはたいへん便利です。
 地図を印刷するには、印刷したい部分を表示し(縮小したりして)、印刷する部分をマウスでドラッグして選択します。このとき、なるべく印刷する用紙の縦横比にあわせます。そして[ファイル]−[印刷]−[選択範囲を印刷]です。

北海道の地図データ提供サービス

 国土地理院の基盤地図情報をダウンロードしたり、パソコンで処理したりするのは、インターネット環境やPCの性能が悪い人にとっては困難です。そこで特別サービスとして北海道の標高データと基準点データをダウンロードできるようにしました。10mメッシュ標高データ(xemファイル)はこちらからダウンロードできます。全部で16ファイルあり、サイズは最大で18MBくらいです。LZHで圧縮してあるので、 一つのフォルダに解凍して下さい。xemファイルは全部で998、321.8MBあります。ファイル名の数字は圧縮されているファイルの内、最後のファイルの地図番号を示しています。使い方は上の「標高データの重ね合わせ」を読んでください。
 基準点データは北海道の場合、GPS固定点、電子基準点、基準水準点、一等水準点、三角点(一等から四等まで)、二等多角点、16,296点が含まれます。それぞれについて、元データから名前、緯度・経度、標高を抜き出してあります。エクセル形式とウェイポイント(wpt)形式の二つのファイルがあり、こちらからダウンロードできます。ウェイポイントファイルはカシミール3Dに読み込むと地図上に名前が表示されます。
 なおこのサービスは予告なく終了することがあります。


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