安全な冬山登山のための
携帯用GPSの使い方
−スマホのGPSも使える−
(Last updated 2015.2).
GPSとは |
携帯用GPSの種類と仕様 |
携帯用GPSの操作法 |
パソコンとGPS間のデータ転送 |
GPSナビの実際 |
英語版GPSの表示を日本語にする方法 |
冬山登山におけるGPS使用の注意点 |
GPSの電池 |
スマホのGPSの使い方 |
GPSはGlobal Positioning System (全地球測位システム)の略です。アメリカが軍事目的に開発した、人工衛星からの電波を受けて地球上どこでも簡単に位置を測定できる電子装置です。船舶や自動車のナビゲーションシステムとして広く使われています。最近では携帯電話やデジカメにも組み込まれるようになりました。GPS衛星からの電波状況が良ければ5m程度の正確さで位置(緯度、経度)を決めることができます。4個以上の衛星の電波を受けることができると標高も測定できます。
GPSは3個以上のGPS用人工衛星の電波で位置を測定する
携帯用のGPSは山登りや山スキーの道案内に非常に有用ですが、古い機種だと深い森の中や谷の中では多くの衛星からの電波を受けられないので位置が正確でないことがあります。携帯電話のGPSも位置が正確でないものがあります。常に信頼の置けるものではなく、使い方には注意が必要です。また、GPSがあっても地図やコンパス、高度計が不要になるわけではありません。私はGPSの他に必ずこの三つを持って歩いています。
なお、GPSは軍事用ですからGPS衛星の所有国が戦争を始めれば使えなくなります。また、将来、地下エネルギー資源が枯渇して石油文明が衰退すれば、GPS衛星を打ち上げる余裕もなくなり、使えなくなるでしょう。いつまでも間違いなく使えるのは地図とコンパスです。
持ち歩くことができる、携帯電話程度の大きさのGPSが市販されています。日本ではハンディGPSと呼ばれていますが、英語圏ではhandheld GPSと呼ばれているので、おそらく和製英語なのでしょう。最近はいろいろな種類の携帯用GPSが市販されています。日本で販売されてGPS専用機では、 米国ガーミン(Garmin)社のGPSが主なものです。そのうち2015年現在、トレッキングや山スキーでよく使われている機種を次表に載せます。
代表的なアウトドア用GPS ガーミン社 eTrexシリーズ eTrex10、eTrex20、eTrex30 Oregonシリーズ Oregon600、Oregon650 など Dakotaシリーズ Dakota10、Dakota20 Montanaシリーズ Montana600、Montana650 など GPSMAPシリーズ GPSMAP64、GPSMAP64s など 腕時計タイプ Foretrex 301および 401 この他、ガーミン社の自転車用Edgeシリーズも使えると思います。また、生産中止になった機種(Coloradoシリーズ、Oregon200〜400など)も出回っており、十分に実用になります。 次に代表的な携帯用GPSの主な仕様を示します。
ガーミン社の携帯用GPSはほとんどの機種について日本語版があります。しかし価格は英語版よりかなり割高です。英語版でも日本語の取扱説明書がついてきます。英語表示が苦手な人もいるようですが、使う機能は限られているので英語表示にもすぐ慣れます。さらに、Oregon、Dakota、GPSMAP62シリーズ以降の最新版は英語版でも日本語を表示する機能を持っています。コンピュータの知識があれば、これらの英語版GPSのメニュウなどを日本語表示にかえることができます。(後述)
代表的なアウトドア用GPSの主な仕様 機種名 eTrex10 eTrex20 Dakota20 Oregon600 Montana600 GPSMAP62 表示画素数 160 x 128 220 x 176 240x160 400x240 480x272 240 x 160 重量(グラム) 約142 約142 約149 約210 約289 約230 使用電池 単3 x 2 単3 x 2 単3 x 2 単3 x 2 内蔵リチウム
イオン単3 x 2 電池寿命(時間) 約25 約25 約20 約16 約16 約16 内蔵メモリー なし 1.7GB 850MB 1.7GB 3GB 4GB データカード なし マイクロSD マイクロSD マイクロSD マイクロSD マイクロSD 詳細電子地図 不可 可 可 可 可 可 カスタムマップ 不可 可 可 可 可 可 電子コンパス なし なし あり あり あり なし 気圧高度計 なし なし あり あり あり なし タッチスクリーン なし なし あり あり あり なし 最近、GPSを組み込んだ携帯電話(主にスマホ)が進歩して、専用機に劣らないようになりました。この使い方を追加しました。GPS機能付きカメラも地図が表示できる機種があるようですが、山で使う前にあらかじめ測位精度や地図の正確さなどをチェックしておく必要があります。携帯用GPSを選ぶに当たっては感度、電池の持ち時間、画面の見やすさ(大きさ)、操作性、地図表示が可能かどうか、などを考えて機種を決めましょう。最新のGPS専用機の感度は非常に高くて、どの機種でも問題ありません。画面は大きいほど見やすいですが、表示に電力がいるので、電池の寿命は短くなり、価格も上がります。操作性はタッチパネルが良いですが、これも値段と相談になります。
インターネット上でGPSの情報収集や購入ができます。GPSの通販ショップには、アイ・デー・エイ オンライン(IDA ONLINE)、パソコンGPSショップ、いいよネット、TKA PLANET、 AG Store、などがあります。
サトシンの使っているGPSはガーミン社のeTrex Legend C(英語版)とOregon 200(英語版)です。 Oregon 200は最近(2011.2)、アメリカの通販サイトで安いものを見つけて個人輸入し、日本語表示できるようにしました。また、国土地理院の基盤地図情報のデータから、10m間隔の等高線地図を手作りして使っています。地図の作り方についてはこちらを見て下さい。
これからはOregonやDakotaのようなタッチスクリーン・タイプのGPSが主流になると思われるので、Oregon 200の画面を使って操作法を説明します。
メニュウ画面 設定画面と設定できる項目 画面の輝度とロック メニュウ画面と設定
電源を入れるとGarminのロゴを表示した後、メニュウ画面になりますが、大きな地図を入れているとかなり時間が長くかかります。メニュウ画面に表示される項目や矢印をタッチすると画面が切り替わります。まず「設定」ボタンを押して、使用目的にあった設定をします。「システム」のMSAS/WAASは、静止衛星を利用して測位誤差を補正するシステムなので、有効にしておきます。電池タイプが正しく設定されてないと電池残量表示が不正確になります。「ディスプレイ」のバックライト点灯時間は電池を長持ちさせるために必要最小限にします。なお、バックライトが消えても画面をタップすると点灯します。複数の地図を入れている場合には、「地図」の地図選択で切り替えることができます。英語版では長さの単位がフィートになっているので、「ユニット」でメートルに直します。メニュウの項目の順序は「メインメニュウ」で変えることができます。その他は初期設定のままでよいでしょう。
電源ボタンをチョイ押しする(長押しすると電源が切れるので注意)と画面の輝度とロック設定ができます。電池を長持ちさせるには輝度をなるべく下げた方がよいでしょう。行動中に画面が何かに触れて変わるのを避けるために、画面をロックすることができます。衛星状態画面
GPSが正常に機能しているかどうかは、メニュウ画面下のアンテナ・バー(五本の縦棒)をクリックして衛星状態画面に切り替えるとわかります。ここで中央は現在地から空を見上げたスカイビュー図であり、GPS衛星の位置と番号が表示されます。外側の円は地平線を、内側の円は45度上空を示しています。その下の棒グラフは衛星からの信号強度を示しています。
衛星状態画面
「衛星捕捉中」となっている場合には、まだ位置測定は終わっていません。衛星を十分な数捕捉できないと、「衛星に問題が生じました。探索を続けますか?」というメッセージが出ます。位置測定を続ける場合は「はい」、あきらめる場合は「いいえ」を選択します。
GPSを初めて使うときに衛星がなかなか捕捉されないことがあります。これをコールドスタートと言います。古い機種では位置が決まるまでに10分くらいかかることがあります。 しかし、2回目からはあまり時間がかかりません。これはGPSの内部メモリーに衛星の情報(アルマナック)が記録されるからです。しかし、長距離を移動したり、GPSのメモリーが何らかの原因で消えると、コールドスタートになります。
位置測定が完了すると、右の画面になり、位置(緯度、経度)とGPS精度が表示されます。この段階から測定された位置はGPS内に記録され、地図画面に現在位置が表示されます。また、メニュウ画面では 位置測定が完了すると、アンテナバーが黒色からすべて緑色に変わります。地図画面
地図画面では現在位置を示すアイコンが(地図が入っていれば)地図上に表示されます。その他の情報を表示したいときは、「設定−地図−データ項目表示」で2〜4(項目数)を選びます。地図画面に戻ると上部に「スピード」などの項目が表示されているはずです。このデータ項目を変更したいときは、その項目をクリックすると「表示項目選択」画面になるので、表示したいデータ項目を選びます。ふつう位置(経度/緯度)、高度、電池残量、時刻などのうち、好きなものを表示するとよいでしょう。この表示が邪魔であれば、項目数を0に設定します。なお、気圧高度計を内蔵しないGPSの高度表示はあまり正確でありません。
地図画面
携帯GPSではカーナビのように「真っ直ぐ進め」とか「次の交差点を曲がれ」などという指示はありませんから、進む道は自分で決めなければなりません。そのためには地図を読むことができなければなりません。少なくともGPSの地図画面と紙の地形図を見比べて、現在地が地形図上のどこに相当するかをわかるだけの能力が必要です。
「地図が読める」ということは、南北(緯度)、東西(経度)、さらに高度(等高線)の座標系を使って、自分が座標系のどの位置にいるかを理解することです。地形図はまさににこの座標系で描かれているのです。「地図が読めない人」の典型的な例は、札幌の町並みのように条、丁目が座標になっていても、ある目的の場所に行くのに「目の前の道を右に行って△のある交差点を左に曲がり、○×の建物が見えて来るまで進む」というように、いつも目の前の風景で進む道を判断する人です。座標のわかる人なら、目的地が北X条の東Y丁目と聞けば、「北○条道路を東にゆき、北○条東Y丁目で北に曲がって進む」というふうに考えます。山に登る場合であれば、「○×沢を高度Xmまで登り、北側の枝沢に入って頂上から北東に延びる尾根に上がる」という具合です。また、地図というものは常に北を上にして見るものです。目的地の方向に地図を回さないとわからない人は駄目です。
登山で地形図を使うときは、等高線の屈曲から沢や尾根を、等高線の密度から斜面の傾斜を読みとれなければなりません。これができないと、登山道のない山を登る山スキーはできません。
地図なしGPSで地形図上の位置を知る方法
さて、地図が表示されないGPSではどうやって地形図上の位置を知るのでしょうか。それは緯度と経度から地図上の現在地を知る方法です。そのためには地図に細工をしておく必要があります。地形図に緯度線と経度線を細かく書き入れておくのです。しかし、市販の地形図に線を正確に書き込むのは面倒なので、別のページに紹介するカシミール3Dというコンピュータソフト(ウィンドウズ専用、無料)を使います。 使い方はこちらをご覧下さい。
カシミール3Dで作成した緯度線、経度線、磁北線(黒点線)入り2万5千分の1地形図
カシミール3Dはインターネットで国土地理院の地形図をダウンロードして表示し、好きな地域の地図を印刷できます。印刷する際に緯線と経線、さらに補助線と磁北線を印刷できます。それぞれ線の太さや色を選択できます。なるべく色の薄い点線を使うと地図を見る邪魔になりません。 緯線、経線は1度きざみ、補助線は10-15秒きざみくらいが適当です。
GPSは緯度、経度を0.1秒まで読みとれますから、読みとった緯度、経度を地形図上にプロットすれば、約±3メートルの精度で位置を決めることができます。しかし、これはかなりたいへんな作業なので1秒までで十分でしょう。
冬山の風の中で地図を広げて、緯度経度を読みとるのは楽ではありません。正確な現在位置を知りたいときには緯度経度を地図に落としますが、ふつうは地図画面(Map Page)を見て現在位置を判断します。そのためには、GPSにあらかじめツアールート周辺のウェイポイント(目標点)あるいはルートそのものを登録しておきます。
ウェイポイントをGPSのMark(登録)ページから登録するには、ウェイポイントの緯度と経度を打ち込みます。しかし、これはたいへん面倒な作業なのでカシミール3Dを使いコンピュータから登録する方法を解説します。なお、地図を表示できるGPSでは、画面地図上の点をウェイポイントに指定すると、緯度、経度をGPSが読みとってくれるので、入力の必要はありません。
パソコンとGPSの接続
パソコンからGPSにデータを送る(アップロード)には、接続ケーブルで両者をつなぎます。現在のガーミンGPSのPC接続ケーブルはすべてミニUSBです。GPS側のミニUSB接続口は、下部あるいは背面の防水カバーを持ち上げると現れます。Oregon、Dakota、GPSMAP62シリーズなど最新の機種では、USBケーブルを繋ぐだけでGPSの電源が入り、通信できる状態になります(時間がかかる場合があります)。この場合、GPSの内部メモリーやマイクロSDカードはマスストレージ(外付けHDDなどと同じ)として認識され、パソコンからGPS内部のファイルを操作することができます。
eTrexなどの古い機種ではガーミンのUSBドライバーが必要で、通信をはじめるにはGPS側の電源をオンにします。また、古い機種ではパソコンとつなぐ前にGPSの通信モードの設定を確認します。SETUP(設定)のINTERFACEの画面に行き、設定をGARMNモードにします。購入したときはこのモードになっているはずです。パソコンとの通信がうまくゆかないときにチェックしましょう。ウェイポイントの作成と登録方法
それではカシミール3Dにはすでに2万5千分の1地形図が読み込まれているものとして、ウェイポイントの登録方法について説明します。まず地図上でウェイポイントとしたい点(例えば山頂や登山道分岐点)をマウスポインタで指し、マウスの右クリックメニューから[新規作成]―[ウェイポイント作成]を選び「ウェイポイントのプロパティ」画面を出します。 ウェイポイントとしては、ツアールート周辺のピークや標高点、ルートの分岐点などがよいでしょう。
カシミール3Dの地図上でウェイポイントをつくる
プロパティ画面ではウェイポイントの名前とGPSでの名前を入力します。英語版GPSでは半角英数字でないと表示されません。測地系属性にはGPSで設定されている測地系を選択します。2003年以降に購入したGPSであればWGS 84に設定されているはずです。測地系が間違っているとGPS上にウェイポイントが正しく表示されないので注意が必要です。最後にOKを押して保存します。
地図上のマウス操作でルートを作成する ルートの作成とGPSへのアップロード
同様にルートを登録することもできます。あらかじめ紙の地図の上に鉛筆でルートを書き込んでおくとよいでしょう。カシミール3Dの地図上でルートの出発点としたい所をマウス右クリックし、[新規作成]−[ルート作成](上の図の[ウェイポイント作成]の下)を選択します。地図上でルートの要所、要所を左クリックし、線を延ばしてゆきます。 直線の部分は2点で結び、カーブの部分はカーブに沿って細かく点を打ちます。終点のポイントで右クリックするとメニュウが出るので、[確定]をクリックします。その後のルートデータプロパティでは、ルート名(タイトル)や測地系を入力します。測地系はWGS84にします。ルートの線は現在軌跡(トラック)と区別するために、トラックとは違う色にしたり、点線にするなどした方がよいでしょう。線幅は2が適当です。
ルートはウェイポイントを線でつないだように表示されます。実際、ルートのデータはウェイポイントの集合体として扱われ、GPSの画面上にはウェイポイントの列が表示されます。しかし、これは煩雑なのでルートをトラックに変換して、線データとした方が扱いやすく、見やすくなります。ルートのトラックへの変換は、ルートのポイントでマウス右クリックメニュウを出し、[トラックへの変換]を選びます。
作成したルート(トラック)はファイルとして保存することもできますし、直接GPSにアップロードすることもできます。マウス右クリックメニュウで選択できます。
パソコンからGPSへデータを転送
[編集]―[GPSデータ編集]を選択し、「GPSデータエディタ」画面を開きます。ウェイポイントを転送する場合には、GPSエディタ画面の「ウェイポイント」フォルダをクリックします。保存されたウェイポイントが「ポイント名」欄に表示されますので、GPSに送信したいポイントを選択します(複数選択可)。
GPSエディタを開いてGPSに転送するウェイポイントを選択する
さらに[通信]―[GPSへのアップロード予約]―[選択データ]をクリックし 「アップロード・ダウンロードリスト」画面になります。 ここでGPSの機種設定をした後、[アップロード]―[ウェイポイント]から「GARMINとの通信」画面となります。ガーミンのOregon、Dakota、GPSMAP62シリーズなど最新機種は「マスストレージ接続」、古いeTrexシリーズなどは[USB接続(GARMIN社製ドライバが必要)]を選択します。eTrexでは準備がすんだらGPSの電源を入れて開始ボタンを押せば通信が始まります。
「ガーミンGPPSとの通信」画面
ルートを転送するときは、GPSデータエディタ画面でルートのフォルダを開き、転送したいルートを選択します(トラックに変換したときはトラックフォルダ)。後はウェイポイントと同じです。トラックももちろん同様に転送できます。例えば、誰か他の人が登った山のトラックログファイルをコピーしてもらい、それをGPSに転送すれば、その人が歩いたとおりにGPSの画面にトラックが表示されます。このHPの「北海道の山スキールート図」では、いくつかの山についてサトシンが歩いたトラックログファイル(POTファイル)をダウンロードできるようになっています。
なお、GPSからパソコンへのデータ転送(ダウンロード)は、「カシミール3Dの使い方」に書いてあります。
出発地点からGPSの電源を入れていると、地図画面に歩いてきた軌跡(トラック)が表示されます。もし道に迷ったときは、このトラックを逆に辿れば出発地点まで戻ることができます。これは雪山ではたいへん心強いことです。ガーミンのGPSにはTrack Back(トラックを戻る)という機能がついていますが、わざわざこの機能を使わなくても、帰りのトラックが来たときのトラックに重なるように歩けばよいのです。
地形図が表示された地図画面(左)と地図が表示されない地図画面(右)
地形図を読むことができて、GPSの地図画面に10m間隔等高線が表示される場合には、登山のナビは比較的、簡単です。もちろん、登山の前に地形図上で登山ルートを想定していることが前提です。想定したルートは、実際の地形を見ると登行が困難な場合もありますが、少しの修正で想定ルートに戻ることができるでしょう。
問題は地図が表示されないGPSでいかにルートを読むかです。歩いてきたトラックと現在地アイコンは表示され、進んでいる方向はわかりますが、目的地の方向やそこに至るルートはわかりません。地図無しGPSでナビを可能にするには、事前にウェイポイントまたはルート(トラック)を設定し、それを地形図上に記入(印刷)し、GPSにも登録しておく方法があります。ウェイポイントとしては、ルート上の方向転換点、分岐点や渡河点など重要かつ顕著な点は必須です。さらに、ルート周辺の目立つピークや標高点などもウェイポイントになります。
地図上のウェイポイント(左)とGPS(eTrexモノクロ)上のウェイポイント(右)の比較により現在位置を判断できる
上の図からわかるように、ルート周辺にウェイポイントがいくつか表示されていると、GPS上のトラックとウェイポイントの位置関係から現在位置を判断できます。ルートやトラックログが表示されていれば、現在位置をもっと正確に推定できます。とくに、実際に登ったり下ったりしたルートを記録したトラックログは、想定ルートより確実ですから非常に役に立ちます。
日本語表示ができるGPS
英語メニュウが日本語メニュウになる 日本語表示に対応しているガーミンGPSは現在、Dakota、Oregon、GPSMAP62シリーズ、eTrex10/20/30です(およびこれら以降の機種。また生産中止のColoradoもできるそうです)。これらの機種の最新のファームウェアは日本語などの2バイト文字をサポートしているので、英語などの1バイト文字だけでなく、日本語など文字数の多い言語を表示できる機能を持っています。初期のパソコンは1バイト文字にしか対応していなかったので日本語は表示できませんでしたが、途中から日本語表示が可能になったのです。GPSもコンピュータですから同じような経過を辿っていることになります。
しかし、日本語が表示されるようになっても、GPS画面から日本語を入力できるようにはなりませんから、日本語版GPSと同じになるわけではありません。ちなみに、ウェイポイント、トラックなどはパソコンと接続して設定することができるので、日本語の名前をつけることができ、GPSにも日本語表示されます。ファームウェアのアップデート
ファームウェア(firmware)とは電子機器に組み込まれている基本ソフトウェアのことで、GPSにも組み込まれています。このファームウェアのバージョンがが古いと、日本語表示ができないことがあるので、 バージョンアップしておきます。ファームウェアのアップデートには、ガーミン社の配布しているフリーソフトWebUpdater.exeを使います。こちらからダウンロードしてパソコンにインストールして下さい。 インターネットに接続しているパソコンとGPSをUSBケーブルでつなぎ、WebUpdater.exeを起動すると、ファームウェアが古ければ自動的にアップデートしてくれます。
日本語変換ファイルの作成
ドイツ語用gtttファイル(左)を日本語用(右)に書き換える 英語版GPSは英語だけでなくフランス語やドイツ語などにも対応していて、切り替えて使うことができます。これはGPS内部で変換辞書(変換表ファイル)を使って英語から他言語へ変換しているのです。そこで英語から日本語への変換表を付け加えれば、(日本語フォントが入っていれば)日本語表示ができるようになります。変換表はGPS内の「Text」フォルダ内にある拡張子がgttのファイルです。これらはテキストファイルなので、Notepadなどのエディタで 書き換えることができます。ここではドイツ語のGerman.gttを例に書き換え方を説明します。書き換えるのは<hdr>以下の部分で、まず<hdr>と</hdr>の部分を右のように書き換えます。 次に、<text>と</text>の間のドイツ語を日本語に翻訳します。数が多いので、最初のメニュウに出るものだけでもよいでしょう。最後に、ファイル名をJapanese.gttとして保存します。
この作業がたいへんでやりたくない人は、日本語版GPSを持っている知人からJapanese.gttのコピーを貰うのが良いかもしれません。あるいはことによるとネットのどこかに落ちているのを拾えるかもしれません。日本語フォントの作成
英語版GPSには日本語フォントが入っていないので、入れなければ日本語は表示されません。ガーミンGPSで使われているフォントはTTF(true type font)です。TTFはウィンドウズパソコンで標準的に使われているので、使っているパソコン内にもいくつかのTTFファイルがあるはずです。WindowsフォルダのFontsフォルダを見て下さい。横書き用と縦書き用があるので間違えないように。ゴシックが見やすいと思います。無料で公開されているフォントをダウンロードして使うことも考えられます。たとえば、ここなどです。
さて、フォントはガーミンGPSにそのままでは使えません。ガーミン社が意地悪をして?、xor変換というちょっとした暗号化をしているからです。xor変換はフリーソフトのxor.exeできるので、こちらからダウンロードして、zipを解凍します。使い方はこちらとかこちらなどに書かれています。xor.exeはコマンドレベルのソフトなので、DOS窓を開いて実行します。コマンドプロンプト>の次にxor フォント名.ttf ○○.bin 0x76(○○はファイル名)と書いてリターンキーを押して実行です。できた○○.binフォントファイルは、GPS内のフォントファイルと同じ名前(Oregonは006-D0952-05.bin、その他の機種は知りません。自分で調べてください。)に変更して保存します。これがわからない人は、日本語版GPSを持っている知人からフォントファイルを入手しましょう。ファイルのGPSへのアップロード
Oregon200をパソコンにUSB接続したときのエクスプローラの画面 DakotaやOregonシリーズのGPSは、電源を入れないでパソコンにUSBケーブルで接続するとマスストレージとして認識され、パソコンからは外付けHDDやUSBメモリーのように、ドライブとして表示されます。右の写真はOregon200をパソコンに接続したときのエクスプローラーの画面です。GPS本体のメモリーはDドライブになっています(パソコンのハードディスクの数によってはEやFになることがあります)。その中にはGarminというフォルダがあり、Garminフォルダの下にExtDataとかTextなどのフォルダがあります。これらのフォルダ内のファイルは、パソコンから削除、移動、コピーなどの操作ができます。日本語表示に必要なことは、二つのファイルをパソコンからコピーするだけです。
ファイルをコピーする前に、万一、失敗したときに備えて、GPS内のファイルをフォルダごとすべてパソコンへコピーしておいて下さい。次に、日本語変換ファイル(拡張子がgttのファイル)をTextフォルダへ、日本語フォントファイル(拡張子がbinのファイル)をExtDataフォルダへ上書きコピーします。コピーしたファイルがフォルダ内にあるかどうか確かめてください。
コピー後USBケーブルをGPSからいきなりはずしても問題はないと思いますが、念のためパソコンの「ハードウェアの安全な取り外し」機能を使って下さい。GPSをオンにすると日本語が表示されるはずです。なお、この方法は表示だけに有効であり、日本語の入力には対応していません。地図が日本語版であれば、地名などは日本語表示されます。
冬山では天候の急変のために急遽、引き返さなければならないことや風や降雪によってトレースが消えてしまうことがよくあります。このような時のために山行中はGPSの電源を入れっぱなしにすることをお勧めします。先にも書いたように、GPSの地図画面上に軌跡が残っていれば、帰りはそれを辿れば間違いなく戻れます。
GPSを初めて使うときや、長距離を移動した後は、GPSがコールドスタートになり、衛星捕捉に時間がかかります。位置がわからなくなってから測定のために電源を入れる、というのでは遅いのです。遭難したときにGPSを持っていたが現在位置を測定できなかった、という例が過去にあります。出発前にGPSが正常に働くことを確認していれば、そのような目に会わなくても済んだでしょう。
目標となるものがない開けた場所では道を迷いやすいものですが、幸いにしてGPSはそのような場所で衛星を捕捉しやすいので位置精度が高くなります。 しかし、GPSの電波は極超短波なので直進しかしませんから、深い谷の中や森林の中では見通せる衛星が少なくなるので測定精度が悪くなります。GPSを過信することなく、地形図とコンパスによる位置確認の訓練は欠かせません。GPSはその訓練の助けになります。
GPSの内蔵アンテナは水平においたときに感度が良くなる指向性を持っています。ザックの雨蓋ポケットに水平になるように入れておくのが良いかと思います。これでは地図画面が見えないので不便だという方は、腕に取り付ける方法もあります。そのためのホルダーも市販されています。
GPSの電源を入れっぱなしにすると、当然ですが電池の消耗が早くなります。必ず予備の電池を持つようにしましょう。通常の電池は温度が下がると電圧が下がり、早く使えなくなりますので冬山では注意しなければなりません。 ガーミンのGPSでは電池の種類(アルカリとかニッケルー水素とか)を設定できます。使用している電池の種類とGPSの設定が合わないと、電池残量が正しく表示されません。
一般の電池はすべて化学電池ですから低温になると電圧が下がります。低温にもっとも強いのはリチウムイオン電池ですが、値段が高いことと、充電ができないことが難点です。一般にアルカリ電池は低温での電圧降下が大きいようです。一方、古いタイプのニッケルー水素充電池は自然放電が大きいのが難点です。使わなくても1ヶ月で30%くらい放電してしまいます。長い間ニッケルー水素電池をGPSやヘッドランプに入れっぱなしにしておくのは禁物です。いざというときに使えないこともあります。最近の「エネループ」などのニッケルー水素電池は寿命が長くなっていますが、山行途中で電池切れにならないように、早めの交換をしましょう。
最近のスマートフォン(スマホ)はGPSが独立型となり、感度も向上してきたのでGPS専用機の代替に十分なります。スマホは電話会社のショップで買えば非常に高価なものですが、「白ロム」とか「simフリー」と呼ばれる中古品(あるいは型落ちの新品)をオークションなどで買えば、アンドロイド機の場合はGPS専用機より安いのです。一方、iPhoneはあまり安くなりません。
スマホとガーミンGPSの比較 中古スマホが安いワケ
中古のスマホが安いのは、電話会社が通信料を高く設定するする代わりに、スマホ本体は非常に安くしているからです。例えば、契約期間を二年以上にすると端末が無料になる、などです。
しかし、新しい機種が出ると違約金を払って端末を替える人が出てきます。こうして不要となった端末が中古品として出回るのです。さらに、違約金や通信料を踏み倒す人もいます。これに対抗して電話会社は、不払い端末の通信を制限することができます。最初のうちは▲(使えるが制限予告)ですが、不払いが続くと×(通信不可)になります。携帯電話(au)の通信制限を調べるサイトはこちら。
こうした通信制限されたスマホがオークションで安く売りに出されます。判定が×のものは新品同様でもジャンク品としてとくに安くなります。電話としては使えませんが、WiFiは使えますからインターネットを使うことはできるし、GPSも問題なく使えます。スマホは小型コンピュータに電話機能をつけたものなのです。スマホのGPSの優れている点
第一に、スマホはGPS専用機と比べて画面が広くて見やすいことです。上の写真はスマホ(Xperia acroHD IS12S、4.3インチ)とガーミンのOregon200にほぼ同じ地域の地形図と同じトラックログを表示したものです。スマホの方が見やすいのがわかります。現在のスマホの標準サイズは5インチですから、さらに大きな画面です。また、安価なために使われている英語版ガーミンGPSのように、英語表示に悩まされることもありません。
第二に、WiFiが標準装備されているので、地図を無料あるいは安価にインターネットから直接、取り込むことができます。また、トラックログの取り込みやインターネットへのアップロードもパソコンを経由せずに直接できます。
第三に、スマホは基本的にパソコンと同じ機能を持っていますから、パソコンを使わなくても、GPSのウェイポイントや予定ルートの設定、書き込みができます。
スマホGPSの精度と感度
GPSの精度と感度はスマホの機種によって異なるので、買う前によく調べる必要があります。どの機種の精度が高いか、Xperia A SO-04E、GALAXY S4 SC-04E、AQUOS PHONE ZETA SH-06E、ARROWS NX F-06Eの四機種を比較した実験が次のサイトにあります。大きな差は無いようですが、国産の三機種の方が少しよさそうです。また、iPhoneのGPSの評判も良いようです。
筆者のXperia acroHD IS12SとガーミンOregon200を山スキーで同時に使ってみた感じでは大きな違いはありませんでした。ただし、沢の中など、電波条件の悪いところでは差が出るかもしれません。
簡単にGPSの感度を比較するには、スマホにGPSチェックアプリ(例えば、Satellite CheckとかGPS Status)をインストールして、室内(窓際)で位置測定(測位)結果が出るまでの時間を測定します。20秒以内に測位できれば十分な感度でしょう。ただし、GPSは初めての場所で使うのと、同じ地域で二回目以降に使うのとでは、測位に要する時間が違います。これは、最初はGPS衛星の位置情報(アルマナック)がないからで、これをインターネットから得られる(A-GPSという)場合や情報が記憶された以降では測位が早くなります。したがって、測位時間の測定は一回ではなく数回してみるべきです。
スマホを安価に購入・使用する方法
最近の携帯電話はsimと言われるICカードに電話番号などが記録されていて、simカードを他の端末に差し替えるだけで機種変更ができます。(ただし、電話帳などは別に移す必要があります。)ところが、現在、多くの携帯電話では端末とsimカードが関連づけられ(simロック)ていて勝手にsimを入れ替えることができません。同じ電話会社の機種であれば、この「紐つけ」は手数料(2,100円)を払えば解除できます。なお、総務省は2015年度以降、各電話会社にsimロック解除を義務づけることを決めています。
スマホは使用料が高いと思っている人が多いようですが、これは端末を電話会社から買って、その値段を安くするために高い通信料の契約をするからです。中古のスマホを自分で買って、安い通信料の契約にすれば、従来の携帯電話と変わりません。
ヤフオクでの中古スマホの相場は、一代(約一年)前の機種は15,000円程度で、さらに古い機種はもっと安くなります。前に書いたような通信制限×の「ジャンク」端末ならば数千円で入手できることもあり、GPS機として使うのならこれでOKです。古くても機能は十分、筆者の使っている「IS12S」は2012年のモデルですが、CPUはデュアルコア1.5GHzで、一昔前のパソコン以上のスペックです。
通信料を安くするにはデータ通信を節約することです。筆者の契約は電話とデータ通信ともに基本料のみで、音声通話は無料(25分/月)以内に納めます。データ通信はeメールのために契約していますが、普段はデータ通信をオフにしており、eメールの着信通知があったときや発信するときだけオンにして通信します。データ通信の「パケット定額」は最低1,000円/月かかりますが、この方式ならばもっと安上がりです。WiFiが使える場合には、もちろんWiFi経由です。
スマホには内部メモリーがありますが、大量の地図データや画像や音楽などを格納するには、マイクロSDカードが必要です。現在のスマホではマイクロSDHDカードなら最大32GBまで、SDXCカードなら64GBまで使うことができます。ちなみに価格ですが、2015年2月現在、高速のものでなければ32GBで1,500円程度です。安くても信頼性は十分でデータがなくなるようなことはまずありません。WiFiの活用
スマホやタブレットは有線LANを使えないので、十分に使いこなすには、家庭に無線LAN(WiFi)の設置がほとんど必須です。もちろんLANにつながなくてもスマホは使えますが、無線LANでホームネットワークを構築すれば家中どこでもスマホでWiFiでインターネットができますし、パソコンとの間のファイル交換もLAN接続でできます。
有線LANだけでインターネット接続していて、スマホだけのためにWiFiシステムの導入をためらわれる人には、ホテルなどの有線LANを無線LANにするための携帯型小型WiFiルーターがおすすめです。通信速度があまり速くなくてもよいならば、2,000円前後の製品で十分です。
アンドロイドはグーグルの開発したOSなので、パソコンとスマホをグーグルアカウントに登録しておくとなにかと便利です。例えば、スマホのアプリをインストールするとき、パソコンでアプリストア(Google Play)にアクセスして、インストールしたいアプリのページで「インストール」ボタンを押すとアンドロイド版スマホやタブレットにアプリがインストールされます。また、それまでにインストールされたアプリは「マイアプリ」に一覧表示されます。スマホのGPSアプリと使える地形図
スマホの地図は、グーグルマップなどインターネット接続で表示するものが標準ですが、WiFiの使えない屋外ではデータ通信料もかかりますし、電波の届かない山の中では使えません。そこで地形図をあらかじめキャッシュ(ダウンロード)しておいて、通信なしでも地図表示ができるアプリ(ソフトウェア)があります。
アンドロイド機の場合には地図ロイド(無料)がおすすめです。地図ロイドでは国土地理院の地形図、Yahoo!地図、Googleマップ、Google写真が表示できます。とくに有用なのは、地形図とY地図について、範囲を指定した一括キャッシュで地図を保存できることです。詳しくは地図ロイドのHPの「地図ロイドのキャッシュ機能」を読んでください。また、iPhoneではFieldAccess(有料400円)で同様のことができます。
これらのアプリの使い方を本で読みたい方は、「最新版 スノーハイキング」の「スマホのGPSの活用法」をどうぞ。その他の地図アプリにはYAMAP(アンドロイド用、iPhone用、登録が必要)、YAMANAVI(アンドロイド用、無料)、DIYGPS(iPhone用、有料400円)などがあります。
山スキーなどでのGPS機器使用で有用なのは、ウェイポイントやルートを画面上に表示して、これを見ながら進路を決める方法です。地図ロイドやFieldaccessにはGPX形式のGPS関連ファイルを読み込んで表示する機能があります。あらかじめ、カシミール3Dで作ったウェイポイントやトラックをGPX形式で保存し、(以下、地図ロイドの場合)そのファイルをスマホのSDカードの[chizroid]-[trk]フォルダーにコピーしておきます。次に、地図ロイドの画面設定で「トラックログ」を選択すると、これらのファイルの一覧が表示されますから、必要なファイルを選択して画面に表示します。詳しくはこちらを読んでください。ヤマレコやルートラボなどにアップロードされているGPSトラックをダウンロードすることもできます。
地図ロイドではまた、ルートを地図ロイド上で作成することもできます。「距離測定/ルート作成」ボタンを押し、ルートを連続した直線で表します。詳しくはこちら。
パソコンとスマホの間のファイル交換はWiFi接続のほか、USB接続でもできます。最近では大容量のオンラインストレージサービスが盛んで、グーグルドライブとかYahoo!ボックスとかは、スマホの専用アプリで簡単にアクセスできます。これらのストレージにGPSデータや写真などを置いておけば,スマホとPCのどちらからも使えて便利です。グーグルの回し者ではありませんが、「グーグルドライブの使い方」という解説ページを作りましたのでよろしければどうぞ。GPSトラックログの記録と保存(地図ロイドの場合)
地図ロイドの欠点はGPSのトラックログを保存できないことです。これを補うアプリが「山旅ロガーGOLD」(有料300円)です。いろいろな設定項目がありますが、まず、「SDカードを使う」、「地図ロイドリアルタイム反映」はオンにしておくとよいでしょう。また、初期設定では測定モ−ド(iボタン)が徒歩用になっていますが、スキーの滑降時に記録が粗くなるので、「自転車用−最短」に設定した方がよいでしょう。なお、GPS測位の記録時間を短くするほど電池の消費は早くなります。
「地図ロイドリアルタイム反映」がオンになっていれば、山旅ロガーGoldを起動して「測定開始」ボタンを押すと地図ロイドが起動してトラックログが表示されます。このとき、GPSをオンにしていないとGPS起動のダイアログが出ますので、GPSをオンにしてから再度、測定開始ボタンを押します。
終わりに山旅ロガーを呼び出して「測定終了」ボタンを押すとログが保存されます。終了ボタンを押し忘れて余計なログをとってしまったときには、山旅ロガーGoldの「結果一覧の表示」→「機能」→「ルートの編集ツール」→「初めと終わりの切り捨て」→「実行」→「終了時刻」を指定して削除します。終了時刻は「プレビュー」画面の緑点を終了地点まで動かすとわかります。
保存されたトラックログは、名前を付けて(変更して)から共有機能によってウェブ上のストレージやパソコンに送って地図ソフトで表示できます。詳しくは山旅ロガーのHPの説明を読んでください。ログファイルをコピーやアップロードする際、ファイル形式をkml(LineString)にしておくと、国土地理院の電子国土WebやグーグルMap・Earthに読み込んで表示することができます。このHPにこれを解説したページがあります。
スマホGPSの使用上の注意
GPS専用機でも同様ですが、GPSの電源を入れてすぐに測位できるわけではありません。測位が始まる前に歩き始めると、かなり長い時間、正確な測位ができないことがあります。出発する前に地図画面で測位が始まっていることを確認しましょう。
スマホの電池を長持ちさせるには、画面の輝度を下げ、表示時間は短くし、データ通信やWiFiなどはオフにします。新しいスマホで充電したばかりであれば、一日の行動時間くらいは電池は持ちます。電池が早く消費されるときは、バックグラウンドでGPSアプリ以外のアプリが動作している可能性があります。アプリの設定でスリープ中にオフにできる機種もあります。
一方、気をつけなければならないのは、省電力モード(機種により名前が異なる)にしていると、スマホのスリープ中にGPSアプリが切られてしまうことがあることです。スリープ中でもGPSアプリは動くように設定します。
古い電池や極寒の環境では電池の電圧は早く減少しますから、充電用の電池(いろいろな種類が発売されている)を持ち歩くことも検討すべきでしょう。スマホを完全に充電するためではなく、補充用の電源として使うのなら、3000mAH程度の軽量(150g以下)のモバイル電池でよいでしょう。GPS専用機の電源としても使えます。(スマホとGPS専用機ではUSB端子が違うので注意)
スマホのタッチ画面はGPS専用機のような感圧式ではなく静電容量式なので、厚い手袋を履いているとタッチ操作ができません(ごく薄い手袋はタッチができます)。タッチペンを使っても手袋を履いていると同じです。スマホの操作ができる、指先に導電材料を使った手袋が売り出されていますが、スキー用のグローブはできないと思います。