GPSに地図をのせる方法(旧)

 このページに書いた方法は、国土地理院の数値地図(空間データ基盤)の試験公開が終了し、それに伴いマップビュウ25000(Mapviewer25000)の公開も終了したので、使えなくなりました。しかし、すでに数値地図(空間データ基盤)のデータをダウンロードして保存しており、マップビュウ25000をお持ちの方は使うことができますので、忘備録としてしばらく残しておくことにします。
 国土地理院は新たに2007年度から基盤地図情報を公開し、データをダウンロードできるようになっています。この中には10m間隔等高線のデータも含まれているので、これまで有料でしか入手できなかったガーミンGPS用の10m等高線入りマップソース互換地図を手作りすることが可能になりました。この方法については新しいページを作ります。しかし、等高線以外のデータについては空間データ基盤の方がGPS用の地図には適しています。
地図をのせることができるGPS

国土地理院の数値地図(空間データ基盤)とは

数値地図(空間データ基盤)の閲覧
マップソース互換地図の作製
マップソース互換地図の閲覧と編集
GPSへ地図を転送する
GPSに表示される地図

地図をのせることができるGPS

 「GPSに地図を載せる方法(新)」を見て下さい。

国土地理院の数値地図(空間データ基盤)とは

 国土地理院はいろいろな地図をつくっています。私たちがよく使う2万5千分の1地形図は画像(ラスター)データですが、空間データ基盤はベクトルデータです。ラスター地図を拡大してゆくと等高線はギザギザになりますが、ベクトルデータは拡大してもギザギザにはなりません。ベクトルデータには線が(ベクトル)数値として入っています。
 なぜベクトル地図の話をするかというと、ガーミンGPSのマップソースはベクトル地図だからです。そしてマップソース同等品は国土地理院の数値地図25000(空間データ基盤)から作ることができます。
 国土地理院の数値地図25000(空間データ基盤)は、2万5千分の1地形図に相当する精度を持つ、道路中心線、鉄道中心線、河川中心線、水涯線、海岸線、行政界、基準点、地名、公共施設、標高の10項目のデータです。

数値地図(空間データ基盤)の閲覧

 空間データ基盤のデータを読みとって地図にするには専用のソフトが必要です。ここではデータをマップソース互換地図に変換することができる、フリーソフトのマップビュウ25000(MapView25000)を使います。2005年12月現在のバージョン0.81を使って説明します。バージョンが変わると食い違いが生じるかもしれません。MapView25000はこちらからダウンロードしてPCにインストールして下さい。また、数値地図ファイルは圧縮されているので、元に戻さなければなりません(これを解凍という)。
 MapView25000は空間データ基盤を国土地理院のホームページからダウンロードしてくれます。起動した後[地図]−[開く]からダウンロードしたい都道府県あるいは市町村を選び、チェックを入れます。地図は容量が大きいのでハードディスクに十分な余裕が必要です。日本全部をダウンロードすると4GBにもなります。速度の遅いインターネット環境ではダウンロードに時間がかかりますが、途中で強制終了すると地図が壊れることがあるので注意してください。
 MapView25000の初期画面は点線で区切られた長方形に数字が入っています。この一区画は国土地理院の20万分の1地形図の大きさであり、数字は地図番号です。例えば20万分の1地形図「札幌」の番号は6441になります。いま札幌市全部を読み込むと画面にはなにも表示されません。そこで画面をマウスでドラッグして区画6441を中央に持ってくると、なにやら赤い線が見えるはずです。次に右上のスライダーを右に動かすと、地図が拡大されるとともに細い道路や川などが順次、表示されるようになります。情報は4段階(レベル)に変わることがわかるでしょう。このように、地図の倍率によって情報が段階的に変わるのがベクトル地図の特徴です。

MapViewer25000に札幌市のデータを読み込んだところ(第1段階、左)、および第2段階に拡大したところ(右)
第3段階に拡大(左)および第4段階に拡大(右)

地図に表示されるデータのレベルを設定する

MapView25000で等高線(50m間隔)と英字地名を表示したところ

 どの段階でどのデータを表示するかは、[地図]-[表示の設定]で変えることができます。表示設定の画面における各項目のスライダーの目盛りが地図の拡大スライダーに対応しています。スライダーが右端の時はすべて表示されます。目盛りが左側に行くほど、そのデータが表示されるズーム倍率が大きくなり、対応する倍率になったときに表示されます。ただし、スライダーが左端の時は非表示であり、倍率をいくら上げても表示されません。初期設定では一般道3.0m以下や庭園路/石段は表示されない設定になっていますから注意してください。
 等高線は[地図]-[データ作成」-[等高線]でつくります。作成画面で「選択反転」ボタンをクリックすると、全面が選択されますが、データのない場所は「データのない場所は選択しない」ボタンで除くことができます。遅いPCでは等高線作成に時間がかかるので暇なときにしてください。等高線は50m線、100m線、500m線、1000m線ごとにレベルを設定できます。
 英語版GPSでは日本語の地名は表示できませんから、英字(ローマ字)の地名にしなくてはなりません。英字表記された日本の山名のデータは、yoshikawa.tkさんのホームページにあるYama16K-e.LZHを使わせていただくことができます。圧縮されているので解凍してYama16K-e.NDBを[地図]−[データ追加]−[NDBファイル]で読み込みます。北海道だけの山名を使いたい場合は、エディターで北海道以南の緯度の山名データを削除します。次に、[設定]−[描画設定]で言語の[英語]にチェックを入れます。これでMapView25000用の等高線、英字地名入りの地図ができました。
 余談ですが、国土地理院の2万5千分の1地形図と比べると空間データ基盤の地図には送電線がありません。また、ダムからの送水管が河川として表示されます。これらは地形図として使うには不便であり、改善して貰いたい点です。

マップソース互換地図の作製

 Mapviewer2500は、先にも書いたように、空間データ基盤データをガーミンGPS用のマップソース互換地図に変換することができます。 ただし、変換するにはcGPSmapperというフリーソフトが必要です。 こちらからダウンロードしてください。パッケージをダウンロードすると、 いろいろなファイルが入っていますが、必要なのはcgpsmapper.exeだけです。cgpsmapper.exeはどこにおいても構いませんが、 Mapviewer25000の[設定]-[フォルダ設定」で入れたフォルダを指定してください。以後はMapviewer25000がcgpsmapper.exeを使って作業をします。
 cGPSmapperのホームページにはSendMap20というソフトもあります。これも後にGPSへの地図転送で使いますからついでにダウンロードしておいてください。
 マップソース互換地図への変換は[データ変換]−[数値地図25000→GARMIN IMG(*.img)]で行いす。最初に地図の変換ウィンドウが開きますので、地図の保存フォルダを指定し、[変換設定]ボタンを押します。変換設定ウィンドウでは道路、河川、地名・山名などがどの拡大段階(レベル)で地図上に表示するかを決めます。初期設定ですと登山道や林道など小さな道路は標示されません。等高線が表示される段階もここで設定します。
地図の変換
GPS用のマップソースのファイルサイズを小さくしたいときは、[データを間引く]スライドを右に動かす。
[変換設定]ではマップソースで表示する道路、河川、等高線などのデータの表示レベルを指定する。
地図の変換設定

 この変換設定では最終的に表示されるGPSの画面がイメージできないので、どのレベルにすると見やすいのかわかりません。小さな地図領域でレベルを変えたテストを繰り返してみた方がよいでしょう。地名・山名のレベルはGPSでも変えることができますが、道路、河川などはGPS側では変えられません。
 データをすべて表示するようにすると変換した地図の容量が大きくなりますから、よく考えて設定してください。「データを間引く」スライダーは右に動かすほどデータが間引かれ地図の容量が小さくなります。しかし、地図の線がスムースでなくギクシャクするようになります。
 変換したい地図はマウスの右クリップで選択できますが、全部の地図を選択する場合は、[選択反転]と[データのない場所は選択しない]ボタンを押します。この変換もたいへん時間がかかります。

マウスの右クリックで変換する地図の領域を選択する

マップソース互換地図の閲覧と編集

GPSMapEditで道南地方のIMGファイルを読み込んだところ。

 変換したマップソースはGPSMapEditというフリーソフトで閲覧、編集ができます。このソフトはたいへん便利です。こちらからダウンロードしてインストールしてください。
 GPSMapEditの[File]-[Open]でMapviewer25000が出力した、拡張子がIMGのファイルを開きます。その後、[File]-[Add]で次々と地図を継ぎ足してゆくことができます。このようにしてつないだ地図は、マップソース互換地図として保存(変換)できます。逆に大きな地図から小さな地図を切り出すこともできます。
 GPSMapEditで表示されるマップソースのデータ表示レベルは、レベル0が全データ表示、レベル1と2は地図のズーム倍率によって変わるデータ表示、そしてレベル3は使われていません。Mapviewer25000の表示レベルの最初の二段階が込みでレベル0に対応しているようです。これはGPSの表示でも同じです。マップソースでのレベルが切り替わるズーム倍率はMap propertiesの[Levels]で変えることができます。ただし、レベルを4個より増やしたり、減らしたりしてはいけません。GPSに転送できなくなります。  地図を複数結合して保存する際に注意すべきことがあります。[File]-[Map Properties]を開いてください。ここでIDには他の地図とは重複しない番号を入れてください。 NameはGPSの「Map info menu」に表示される地図名です。Elevation unitsはMeters、Code pageは英語版の場合、0(7bitASCII)にします。
 GPSMapEditはその仕様上、直接マップソース地図として保存することができず、[File]-[Save as]で一旦Polish formatで保存します。それから[File]-[Export]-[Garmin IMG/gpsmapper.exe]でマップソース互換地図に変換します。地図のレベルを変更したり、複数の地図を結合したりしないのであれば、MapViewer25000が作ったIMGファイルをそのままGPSに転送してもかまいません。複数の地図を転送してもGPS内で結合されます。
レベル

GPSへ地図を転送する

 「GPSに地図を載せる方法(新)」を見て下さい。

GPSに表示される地図

 このようにして手作りしてGPSに入れた地図は、ガーミン純正のマップソース地図といくらか違います。もちろん、英語表示ですから日本語は表示されないのは当然ですが...。手作り地図のよいところは道路や河川をすべて表示できるようにできることです。林道や登山道がすべて表示されるので、林道の走行にはとくに便利です。登山口に行くまでに迷ってしまうことがなくなります。もちろん、必要に応じて表示しないようにすることもできます。これに対して純正マップソース地図は幅員2.5m以下の道路は標示されないので、林道や登山道は表示されないことになります。なお、アップアップダウン製作所の地図はすべて表示されます。 

GPSに表示されるレベル0(左),レベル1(中央),レベル2(右)の地図

 地図を要素によって作り分けることもできます。例えば、等高線を含まない地図と等高線だけの地図を作ることができます。これらを一緒に読み込めば普通の地図ですが、GPSの地図表示で等高線を不表示に設定すると道路だけの地図になります。ちなみに、日本語版の純正マップソース地図は林道や登山道が表示されませんが、上の方法で林道と登山道だけの地図を作ってGPSに転送すると表示されるようになるはずです(保証はしません)。
 手作りマップでは純正マップソースのような等高線の標高値が表示されません。地名や山名データも別に入れないと表示されません。さらに、等高線が純正地図に比べて雑です。これは手作りマップの等高線が空間データ基盤の50mメッシュ標高データ(50mDCM)から作られているからです。一方、純正マップソースは2万5千分の1地形図(画像データ)の等高線を読みとってベクトルデータ化*)したものです。最近、売り出された10m間隔等高線の純正マップソースも同様です。2万5千分の1地形図と同じ10m間隔等高線は、現在の空間データ基盤からだけではいくら頑張っても作れません。ま〜、手作りはタダですから我慢しましょう。

*)ガーミンの純正日本版マップソースは旭川市にある北海道地図(株)が作っています。同社は国土地理院発行の1/25,000地形図の等高線(10m間隔)から生成した高分解能なDEM(デジタル標高データ:Digital Elevation Model)を作っています。

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