光触媒用語集

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略語

略語
AFM (atomic force microscopy)
原子間力顕微鏡
ESR (electron spin resonance)
電子スピン共鳴分光のこと。不対電子を持つ分子、ラジカルの定性、定量分析ができる。EPRともいう。
NHE (normal hydrogen electrode)
標準水素電極
NOx
窒素酸化物の総称。NO、NO2、NO3、N2Oなどがある。大気汚染物質のひとつ。
SCE (saturated calomel electrode)
飽和カロメル電極。基準電極の一つ。標準水素電極より使用が容易であるため、この電極で測定した値を標準水素電極に換算することが多い。電極電位は20℃で0.244Vである。
SHE (standard hydrogen electrode)
標準水素電極
SEIRAS (surface-enhanced IR absorption spectroscopy)
表面増強赤外分光
STM (scanning tunnneling microscope)
走査型トンネル顕微鏡
UPS (ultraviolet photoelectron spectroscopy)
紫外光電子分光
XRD (X-ray diffraction)
X線回折
XPS (X-ray photoelectron spectroscopy)
X線光電子分光
アクセプター(acceptor)
化学では一般に電子を受け取ることができる物質をいう。
一重項酸素(singlet oxygen)
酸素分子の電子励起状態で2種類ある。ちなみに、酸素分子の基底状態は三重項。活性酸素のひとつであるが、酸化力はあまり強くない。酸化チタンから酸素が光脱離するときにできるとされている。
オーエッチ・ラジカル(OH radical)
ヒドロキシラジカルのこと。
オーミック接触(ohmic contact)
金属と半導体間にダイオード(整流)特性のない接触。
解離吸着(dissociative adsorption)
化学吸着の1形態で、分子が分解して表面に吸着する。
化学吸着(chemisorption)
分子が固体表面と強い化学結合を作る吸着。化学吸着は吸着分子が単分子層をつくると終わる。
化学光量計(chemical actinometry)  
量子収率が既知の光化学反応を使って光量を測定する方法。オキザラト鉄光量計がよく用いられる(適用波長領域:250-500nm)。波長によって量子収率が変化するので使用にあたってはなるべく狭い波長範囲で測定する。
活性酸素(active oxygen)
通常の酸素にくらべいちじるしく化学反応をおこしやすい酸素。活性化の原因は原子状態の酸素の生成または酸素分子の準安定状態へ(たとえば通常の3重項状態から1重項状態へ)の励起に帰せられる。生化学では、さらにスーパーオキシドアニオン(・O2-)、ヒドロキシラジカル(・OH)、ペルヒドロキシラジカル(・O2H)をも含めて活性酸素と総称する。(理化学事典第5版より)光触媒表面での酸化反応の中間体となる。
過電圧(overvoltage, overpotential)
電極上で反応が起こっている場合、電極電位とその反応の平衡電極電位との差をいう。電極の(触媒)活性が低いと反応を起こすために大きな過電圧を必要とする。同じ電極であれば大きな過電圧をかけるほど反応は速くなる。
価電子帯(valence band)
共有結合型の結晶内電子の量子状態エネルギー準位において電子が完全に満たされているエネルギーバンドをいう。金属結合では充満帯という。  
含浸法(impregnation method)
触媒担体に触媒を担持する方法の一つで、触媒を含む溶液中に担体を浸して乾燥する。
基準電極(reference electrode)
照合電極,参照電極,基準半電池ともいう。電極の電極電位を測定するために,その電極と組み合わせて電池をつくるのに用いる電極。水素電極,飽和カロメル電極(SCE),銀‐塩化銀電極などが代表的なものである。
犠牲剤(sacrificial reagent)
そのものが酸化あるいは還元されることによって他の物質を還元あるいは酸化する物質。犠牲試薬ともいう。光触媒では犠牲剤を用いた水素あるいは酸素発生反応がしばしば行われる。
キセノンランプ(Xe lamp)  
キセノンガスを封入した放電ランプ。可視光が強いが、紫外光源としても用いられる。
キャリヤー(carrier)
物質中で電流をはこぶはたらきをする荷電粒子のこと。半導体では電子と正孔がキャリヤーになる.このうち電流に主に寄与するものを多数キャリヤー(majority carrier),そうでないものを少数キャリヤー(minority carrier)という。
ガスクロマトグラフや流通式反応装置で常時、流しているガスをキャリアーガスという。
吸光度(absorbance)
光学濃度ともいう。平行光線が物体中を通過するとき、入射光強度をI0、透過光強度をIとすると、log10(I0/I)で表わされる物体の光吸収の強さをいう。
吸着(adsorption)
原子、分子が固体表面に付着する現象。吸着の強さにより化学吸着と物理吸着に分類される。触媒作用の原動力は主に固体の吸着力にある。
吸着等温線(adsorption isotherm)
温度一定の時の吸着量と圧力(濃度)の関係。その関係式を等温式という。有名な吸着等温式はラングミュアの吸着等温式であるが、その他にも数種類が知られている。
均一系光化学反応(homogeneous reaction)
気体光化学反応や液体光化学反応のように光化学反応系がすべて同じ相である反応。触媒や光触媒が反応物と同じ相の反応を均一系触媒反応(homogeneous catalysis)、均一系光触媒反応(homogeneous photocatalysis)という。
禁制帯(forbidden band)  
共有結合型の結晶内電子の量子状態エネルギー準位において電子が存在することが許されないエネルギー準位をいう。禁止帯ともいう。禁制帯の幅をバンドギャップエネルギーという。
空間電荷層(space charge layer)
半導体光触媒および半導体光電極の場合、半導体が電解質溶液に接触することによって生じる、表面付近の電位勾配領域をいう。この電位勾配に沿って伝導帯と価電子帯は曲がる。電子が溶液と出入りすることによって生じる現象である。電子あるいは正孔がほとんど存在しない状態になっているので空乏層あるいは欠乏層(depletion layer)ともいう。空間電荷層によって整流機能や電荷分離機能が生じ、太陽電池や光触媒で重要な役割をする。
蛍光(fluorescence)
-> フォトルミネセンス
光化学増感(photochemical sensitization)
光化学反応において,反応系に添加された基質(反応物)以外の物質(光増感剤)がまず光を吸収して励起され,次にこの励起エネルギーを反応物質に移譲して反応をおこさせることをいう。  
光学フィルター(optical filter)  
光の波長領域をカット(cut-off)したり、ある波長領域だけを透過(band pass)させたり、光量を調節したりするフィルター。色ガラスフィルターが多く用いられる。カットオフフィルターのカットオフ波長は通常、透過率が50%になる波長であって、ゼロのなる波長ではないことに注意する必要がある。
光電子放出(photoelectron emission)
物質(原子,分子,固体)が光を吸収し,そのエネルギーを得て外部に自由電子が放出される現象。
再結合(recombination)
光照射によって固体中に生成した電子と正孔が結合して消滅すること。
湿式太陽電池(wet solar cell)
シリコン太陽電池のようにすべて固体から形成される太陽電池に対し、電解質溶液を含む太陽電池をいう。光電気化学反応を利用するもので、半導体を用いるものと半導体と色素を組み合わせて用いるものがある。
ショットキーバリアー(Schottky barrier)
Schottkyが発見した金属-半導体間に生じるダイオード特性。金属とn型半導体を接触させると半導体側界面に空間電荷層ができるため、金属から半導体への電子移動は起こるが逆は起こらない。半導体の表面状態によって異なる。
真の量子収率(true quantum yield)
量子収率そのもの。見かけの量子収率にたいして使われる。
助触媒(co-catalyst)
触媒に少量加えることによって性能を向上させる成分をいう。半導体光触媒の場合、Ptなどの金属を助触媒として加える(担持する)場合があり、水素発生反応に対する光触媒活性が向上する。これは半導体単独では水素発生にたいする触媒活性が低いためである。
水銀ランプ(mercury lamp)  
水銀蒸気を封入した放電ランプ。低圧、中圧、高圧、超高圧水銀灯がある。いずれも紫外光が強く出る。光触媒の研究には通常、超高圧水銀灯が用いられる。
スーパーオキシド イオン(superoxide ion)
スーパーオキシドラジカルともいわれる。・O2-のこと。生体内で酸化作用をすることから、光触媒上の活性酸素種と考えられている。しかし、熱触媒上でもO2-は生成するが室温では酸化活性がない場合も多く、一般には酸素原子より活性がはるかに低い。
正孔(hole)
絶縁体や半導体の価電子帯が電子によって完全には満たされていない場合に,空いている電子状態を粒子とみなして,これを正孔という。電場や磁場に対して正孔は+eの電荷をもつ粒子として振る舞う。光や熱によって価電子が伝導帯に励起されれば,価電子帯に正孔ができる。
セルフクリーニング(self cleaning)
自分自身で汚れをとるという意味。酸化チタン薄膜の表面は光によって超親水性になり、水を強く吸着して汚れを浮き上がらせ、簡単に洗い流せるようにする。
増感剤(sensitizer)
化学反応や物理現象の際に,少量の物質を添加してその反応や変化を著しく促進させることを増感といい、その添加物質を総称して増感剤という。一般には光化学増感を指す。
ゾルーゲル法(sol-gel process)
溶液からゾルおよびゲルの状態を経た後,加熱してガラスを作る方法。金属アルコキシドを出発原料に用いることが多い。酸化チタンの微粒子や薄膜を作製するときにしばしば用いられる。
ターンオーバー数(turnover number)
(触媒)反応の生成物の分子数を触媒の活性点(あるいは活性種)の数で割ったもの。反応中に活性点が何回使われたかを示す。ターンオーバー数が1よりかなり大きくないと、その反応は触媒反応とはいえない。
窒素ドーピング(nitrogen doping)
酸化チタンなどの光吸収領域を可視光に広げるために行う不純物ドーピングの一種。
電荷分離(charge separation)
光照射によって半導体中に生じた電子と正孔が空間的に分離すること。n型半導体の表面に空間電荷層があると電子は半導体バルク中へ、正孔は表面へと分離する。
チョーキング(chalking)
白亜化ともいう。酸化チタンを原料とする白色顔料や塗料が、日光にさらされるとボロボロの粉末状になる現象。酸化チタンの光触媒作用(光酸化)によって、塗料中のバインダー(粘結剤)が光分解した結果である。
超親水性(super hydrophilicity)
固体表面が非常によく水になじむ性質。TiO2表面は光照射により超親水性になる。超親水性表面では付着した水が一様な水膜となり水滴にならない。
伝導帯(conduction band)  
共有結合型の結晶内電子の量子状態エネルギー準位において電子が一部分だけ満たされているエネルギーバンドをいう。伝導帯があると電子が結晶内を移動できるので導電性を生じる。電子が入っていない空帯であったも、熱や光によって価電子帯から電子が励起される場合も伝導帯ということがある。
ドナー(donor)
化学では一般に電子を与えることができる物質をいう。
ドーピング(doping)
p型やn型の半導体を作るために電子を貰いやすい、あるいは出しやすい原子を少量加えること。このようにして作られた半導体を不純物半導体という。半導体の吸収波長領域を広げるために不純物ドーピングが行われることがある。
熱電堆(thermopile)
多くの熱電対を束ねたもので熱量測定に用いる。光を熱に変換することにより、単色光の光量測定に用いられる。
ノックス(NOX)
窒素酸化物(NOx)の総称。
バイアス(bias)
電気化学セルの場合、外部から電極に加えられる正あるいは負の電圧のことをいう。半導体光電極セルの場合、半導体の光誘起電子の還元電位が低くてもカソードに負のバイアスをかけることにより反応が進むことがある。
バッチ式反応器(batch type reactor)  
閉じた容器内で反応を行うタイプの反応器。固体触媒反応の場合、なんらかの撹拌を行わないと拡散律速になりやすい。
バルク(bulk)
固体の表面より内部をバルクということがある。
バンドギャップ エネルギー(band gap energy)
結晶のエネルギー帯における禁制(禁止)帯のエネルギー幅。半導体のバンドギャップ エネルギーが大きいほど吸収する光の波長は短くなる。
反応中間体(reaction intermediate)
反応物が生成物になるまでの間に生じる物質をいう。一般に不安定であり寿命が短い。
光吸着、光脱離(photoadsorption, photodesorption)
光照射によって固体表面に物質が吸着したり、吸着していた物質が脱離(脱着ともいう)する現象をいう。
光電解(photoelectrolysis)
光電気化学メカニズムによって光分解反応が起こるときにいうことがある。光分解に同じ。
光電気化学(photoelectrochemistry)
光照射によって生じる電気化学過程を研究する学問分野の総称。半導体を電極とする光電気化学が主であるが、金属錯体を光受容体とする光電気化学も盛んである。n-型半導体を光電極として用いた場合、光照射によって生じた電子は対極(金属極)に導いて反応させる。
光電着法(photodeposition method)
半導体粉末にPtなどの金属を担持する場合、光によって付ける方法。例えば、TiO2粉末をH2PtCl6水溶液に懸濁し、少量の還元剤(アルコールなど)を加えて光照射すると、TiO2の光還元力でPtイオンが還元されて表面に付着する。光電析法ともいう。
光伝導(photoconduction)
内部光電効果ともいう。絶縁体,半導体に光を照射したとき電気伝導率が増加する現象。光吸収によって電子が価電子帯または不純物準位から励起され,伝導電子または正孔が生じるためにおこる現象で,電圧を加えれば光電流が流れる。
光伝導を示す物質を光伝導物質という。
光溶解(photodissolution)
CdS、CdSeなどのカルコゲナイト半導体は水溶液中で光照射すると光分解(溶解)する。正孔によってSなどが水で酸化される現象と考えられる。
ヒドロキシラジカル(hydroxy radical)
・OHラジカルのこと。水酸ラジカルともいう。活性酸素の一つ。気相均一系反応では非常に反応性が高いが、触媒反応ではあまり重要でない。光触媒でも反応性が高いと信じられているが、光触媒に吸着すると反応性が低下する。また、フリーのOHラジカルも一酸化炭素を酸化できないので、有機物を完全酸化できない。
標準水素電極(standard hydrogen electrode, normal hydrogen electrode)
水素イオンを含む溶液中にPt電極を挿入し,その表面に水素ガスを通気して接触させた電極。溶液の水素イオンの活量が1で,水素圧1気圧の場合の水素電極をとくに標準水素電極(standard hydrogen electrode,SHE or NHE)という。標準水素電極の電位は水溶液中における電極の電位の基準に選ばれている。
表面準位(surface level, surface state)
結晶内電子のふつうのエネルギー帯のほかに,結晶表面付近に特別に存在するエネルギー準位。
表面増強赤外分光(surface-enhanced IR absorption spectroscopy, SEIRAS)
金などの微粒子の周辺にある分子の赤外吸収が増強される現象を利用する赤外分光。表面のみに非常に敏感であり、その場(in situ)分析ができる。
フェルミレベル(Fermi level)
固体内の電子の平均ポテンシャルを表す。電子の化学ポテンシャルといえる。
不均一系触媒反応(heterogeneous catalysis)
反応物と触媒の相が異なる反応。主に固体触媒を用いる反応。半導体光触媒による反応は不均一系光触媒反応(heterogeneous photocatalysis)である。
不純物準位(impurity level)
半導体が不純物を含む場合、不純物原子の付近に電子が捕えられている状態にあたるエネルギー準位が禁制帯中に現われることがある.これを不純物準位という.。
物理吸着(physisorption)
分子が固体表面に分子間力だけで吸着すること。一般には室温における真空排気で脱離するような吸着を言う。
フラットバンド電位(flat band potential)
半導体電極が電解質溶液に接触して空間電荷層ができているとき、電極電位を変えるとバンドの曲がりのない状態を作ることができる。この電位をフラットバンド(平帯)電位という。n型半導体の場合、フラットバンド電位は伝導帯の下端の電位にほぼ相当する。
フォトルミネセンス、光ルミネセンス(photoluminescence)
光の刺激で物質から生じる発光をいう。蛍光とリン光がある。前者は光を切った後の減衰が短い発光、後者は比較的長い発光をいうが厳密な区別はない。
フリーラジカル(free radical)
他の物質と結合していない、遊離したラジカル。反応性が高い。
分子軌道(molecular orbital)  
分子軌道関数のこと。分子の電子状態を記述するのに、分子内の各電子は分子全体に拡がる軌道関数(分子軌道)をとるとする方法を分子軌道法という。
閉鎖循環系反応装置(closed circulation reactor)
循環ポンプを用いて循環ループ内のガスを流動させるタイプの反応装置。
マイクロ光電気化学セル(micro-photoelectrochemical cell)
金属を付着させた半導体あるいは光伝導物質粒子は、光電気化学セルと同じように半導体が光電極、金属が対極の役割を果たしていると考えられる。このことから、金属担持半導体粒子を微少な光電気化学セルに喩えて呼ぶことがある。
見かけの量子収率(apparent quantum yield)
光触媒に入射した光子数に対する反応に関与した光子数の比。光触媒が吸収した光子数を求めることが難しいので真の量子効率のかわりに見かけの量子収率が使われることが多い。真の粒子収率より低い値となる。
有機半導体(organic semiconductor)
有機物で半導体特性を示す物質。光触媒となるものもある。
遊離ラジカル(free radical)
フリーラジカルのこと。
ラジカル(radical)
不対電子を持つ化学種。共有結合している分子が分解するとできる。非常に反応性に富む。
律速(rate-determining)  
化学反応は多くの場合、複数の素反応(過程)から成り立っている。構成素反応の中でもっとも遅い素反応を律速素反応または律速段階(rate-determining step)という。全反応は律速段階によって律速される。触媒表面への反応物質の輸送が律速になっている状態を拡散律速という。
流通式反応装置(flow type reactor)  
アルゴン、窒素などの不活性ガスをキャリアーとして反応ガスを定常的に流通させるタイプの反応装置。通常、大気圧で使用する。
量子サイズ効果(quantum size effect)
半導体粒子を粒径100nm以下に小さくすると、バンド構造が固体のそれよりクラスターのそれに近くなり、一般にバンドギャップエネルギーが大きくなる。
量子収量(収率)(quantun yield, quantum efficiency)
次の二つの定義がある。
(1)光電子放出,ルミネセンスなどで,入射光による励起によって放出された光電子あるいは光子の数と物質に吸収された入射光の光子数との比。
(2)光化学反応において,実際に化学変化をおこした分子の数と吸収された光(量)子の数との比をいう。
リン(燐)光(phosphorescence)
-> フォトルミネセンス  
ルミネセンス(luminescence)
-> フォトルミネセンス  
レドックス電位(redox potential)
酸化・還元電位のこと。
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