ヒグマ
(ネコ目クマ科

 ヒグマはクマ科の中ではホッキョクグマとならぶ最大の種で、日本では北海道にのみ生息する。多くの人はヒグマは肉食であり、人を見れば襲う猛獣と考えているようだが、実際は夏の間、ほとんど草食である。秋になると川に遡上するサケをとることはよく知られているが、これは冬眠のための体力をつけるために必要なことなのである。たまにシカなどの動物を襲うこともあるけれど、元気な個体を捕獲できるほどの走力は無い。
 とはいえ、時速60kmくらいで走るから、ヒグマに出会ったら走って逃げようと思ってはならない。逃げるものを追いかける習性は犬にでもある。
 ヒグマは従来、非常に臆病な動物で人に会うのを極力、避けていた。筆者がヒグマの多く住む道東の山中に住んでいた間にも、小学校の下校時に遠くを親子連れが通るのを見ただけである。家の近くにヒグマの糞や足跡があったり、畑の中で寝た跡があったりしても、うちの親たちは一度も見ていない。また、筆者は長年、北海道で登山をしているが、糞や足跡、あるいは餌をとるための掘り返しはそこら中にあっても、一度もヒグマに近くで出会ったことはない。大雪山五色ヶ原では登っている途中、ヒグマがいたので引き返してきたという人に出会い、これなら会えるかも知れないと急いで登っていったが気配もなかった。登山道を横切るときにたまたま登山者に見つかってしまったドジなヒグマだったのだろう。
 このようにヒグマが人を怖れるのは、アイヌの時代からヒグマ狩りが盛んであったためだろう。北海道では1990年以前は春先、雪がカタ雪になるころ、ヒグマの冬眠穴を探しだして猟をする「春グマ猟」が行われ、ほとんどのヒグマ捕獲はこれによっていた。ところがその後、春グマ猟が禁止され保護されるようになると、人を怖れない、いわゆる新世代ヒグマが多くなってきた。道東では街の中にまで出没したこともあり、札幌でも山に近い公園の遊歩道はときどき熊出没で通行止めになる。
 一方、都会人化してヒグマに対する対処法を知らない、ヒグマを怖れない人間も増えてきた。ヒグマに餌を与えたり、至近距離で写真を撮ったりする人がいる。野生動物への餌やりはかえってその個体を不幸にする。かつて観光客からソーセージを貰ったヒグマが街の近くへの出没を繰り返し、結局、射殺されてしまった。ヒグマに近づきすぎてなにか事故が起きれば、殺されるのはヒグマの方なのだ。

こちらのページにもヒグマの記事あり。


知床ウトロから出るヒグマ ウォッチング クルージングにて。
乗船二回目でようやく写真が撮れた。(9月)


捕ったサケ(草の蔭)を食べていた。
この個体は首の周りにツキノワグマのような白い輪がある。


ふたたびサケを捕りに出かけた。

サケ漁をする若いヒグマ


ウトロ イワウベツ川にて(9月)。川の中のサケを探す。


見つからず。


まだ見つからず。


あきらめて移動。


切れ端を見つけた。



ヒグマの近くで撮影するカメラマンたち

知床羅臼側 クルージングより(6月)

動画はこちら

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