エゾシカ
(鯨偶蹄目ニホンジカ科亜種エゾシカ

 北海道にいるエゾシカは、本州以南にいるニホンジカより体が大きく、雄の大きいものは体重130kgにも達する。一時は絶滅が危惧されるほど個体数が減少した。実際、サトシン一家が道東に住んでいた頃(1960年まで)は、一度も見たことがなかった。その後、日高や道東で増え始め、1990年代から爆発的に増加して、現在では札幌周辺でも見られるほどになった。
 エゾシカの増加に伴い農作物や森林の被害が急増し、2008年以降、農業被害は30億円を超えている。道東地方のほとんどの畑地の周辺はシカ柵が張り巡らされ、シカの侵入を防いでいる。最初の頃は電線を張り巡らすだけの簡単な電気牧柵だったが、すぐに慣れてしまって飛び越えるようになってしまった。現在ではシカが飛び越えられない金網の高い柵が作れらている。面白いことに、ヒグマは電気牧柵が苦手で越えることがなかったが、現在のシカ柵はよじ登って越えるのだそうだ。
 エゾシカは冬季、食べるものがなくなると木の皮を剥いで食べる。冬にエゾシカが集まる森林では、下草が食べ尽くされた上に、木の皮を食べられて立ち枯れた木が林立する異様な風景になっている。
 エゾシカは本来、エゾオオカミが天敵としていて生態系のバランスが保たれていた。エゾオオカミが絶滅した現在、自然条件の変化を考えない安易な保護策は、逆に生態系のバランスを崩すことになっている。 


エゾシカの群(4月 根室)
この時期には雄鹿の角はまだ生えていない


6月頃になるとこのように皮をかぶった袋角が生えてくる

後は昨年生まれの子鹿。袋角が生え始めている(6月 知床)


秋までに雄鹿の角は生えそろい、袋はむけて角質が現れる。
毎年、枝が増えるから、この雄の年令は4歳以上とわかる。(10月 知床))

春までに角は抜け落ちる。美唄山で拾った角


エゾシカに皮を食べられないように張られたネット。
しかし、食べられた後に張られたので手遅れ。これらの木はやがて枯れる。(根室 春国岱) 


別海走古丹にて(2月)


夕日の中で(野付半島にて 6月)

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